コインの日 (記念日 5月1日)
人類が生み出した発明のなかでも、貨幣ほど長く世界中で使われ続けているものは少ないでしょう。その歴史は3,000年近くにおよび、各時代・各国の政治や文化、美意識が表裏に刻み込まれています。そんな貨幣への関心を高めてもらおうと制定されたのが、5月1日の「コインの日」です。
記念日を制定したのは、東京都港区新橋に事務局を置く日本貨幣商協同組合(JNDA)。日付は「コ(5)イ(1)ン」と読む語呂合わせに由来します。記念日は一般社団法人・日本記念日協会によって認定・登録されています。
コインは単なる決済手段にとどまらず、その時代の為政者の肖像や国家の紋章、神話的モチーフなどが精緻に刻まれた小さな美術品でもあります。古代ギリシャのドラクマ、ローマ帝国の金貨、江戸幕府の大判・小判——コインを手にとることは、その鋳造された時代や場所の歴史を直接感じることに等しいと言えます。「コインの日」は、こうした視点から貨幣を通じて各国の歴史・文化への理解を深めることを目的としています。
JNDAは「コインの日」の普及活動と並行して、国内最大級のコインの祭典「東京国際コイン・コンヴェンション(TICC)」を毎年ゴールデンウィーク期間中に開催しています。造幣局をはじめ国内外の貨幣商・ディーラーが集まり、世界中のコインや紙幣の展示・販売、オークション、特別講演など多彩なプログラムが用意されます。コレクター初心者から専門家まで幅広い層が訪れるイベントとして定着しており、2025年の第36回は4月26日・27日・28日に開催予定です。
また同組合は「日本貨幣カタログ」の発行でも知られています。和同開珎から現代の流通貨まで、日本の貨幣を網羅した同カタログは、日本で最初の流通コインカタログとして発行されて以来50年以上の歴史を持ちます。現在も毎年改訂が続けられており、国内における貨幣研究・収集の基礎資料として広く活用されています。
5月1日がコインの日であることを知ると、財布の中の硬貨を改めて眺めたくなるかもしれません。日本の100円硬貨に描かれた桜、500円硬貨の桐の紋——日常的に手にしながら、その意匠に込められた歴史や文化に目を向けることが、この記念日の出発点です。