宅配ボックスの日 (記念日 5月1日)
1983年、マンション管理の現場で一つの盗難事件が起きました。管理事務所で預かっていた荷物が盗まれたこの出来事が、「世界初の宅配ボックス」誕生につながります。当時マンション管理業を営んでいた原幸一郎氏は、管理員が不在でも荷物を安全に受け渡せる仕組みを求めて開発に踏み切り、世界で初めてマンション用の宅配ボックスを実用化しました。その3年後の1986年(昭和61年)5月1日、宅配ボックスの製造・販売・運営を専門に手がける株式会社フルタイムシステム(東京都千代田区岩本町)が創立されます。「宅配ボックスの日」の日付はこの創立記念日に由来しており、2011年(平成23年)に一般社団法人・日本記念日協会により記念日として認定・登録されました。
普及への道のりは一筋縄ではいきませんでした。当初、郵便小包を無人ロッカーへ届けることは法律上認められておらず、原氏は郵政省への説得を3年間続けます。1994年、ようやく無人ロッカーへの配達が正式に認可され、これが事業拡大の大きな転機となりました。認可から約30年が経った現在、フルタイムシステムの宅配ボックスは全国3万7000カ所以上に設置されています。
宅配ボックスは、単に「不在時でも荷物を受け取れる」という利便性にとどまりません。再配達に伴うトラックの走行を減らすことで、CO2排出量の削減にも貢献しています。また、オンライン型の宅配ボックスは公衆回線に接続されており、荷物の入出庫状況や機器の状態をリアルタイムで把握できる仕組みになっています。マンション管理者にとっても居住者にとっても利便性を高めるこのシステムは、ネット通販の普及とともに需要が急拡大し、国内市場規模は2019年時点で148億円に達しています。