水俣病啓発の日 (記念日 5月1日)

水俣病啓発の日

水俣病と認定された患者の数は約2,300人、そのうち約1,800人が死亡しています。1956年(昭和31年)5月1日、熊本県水俣市の保健所に原因不明の「奇病」患者の報告がなされたこの日が、水俣病の公式確認日とされています。

水俣病は、熊本県の水俣湾周辺で発生したメチル水銀中毒による慢性の神経系疾患です。水俣市にあった新日本窒素肥料(現:チッソ)水俣工場では、アセトアルデヒドの製造過程で生じる工業排水を水俣湾に長年にわたって排出していました。排水に含まれるメチル水銀は魚介類の食物連鎖を通じて生物濃縮し、汚染に気づかないまま魚介類を摂取し続けた地域住民にメチル水銀中毒症が広がりました。症状は多岐にわたり、四肢末梢神経の感覚障害、運動失調、求心性視野狭窄、聴力障害、平衡機能障害、言語障害、手足の震えなどが代表的です。意識不明や死亡に至る重症例から、頭痛・疲労感・耳鳴りにとどまる軽症例まで、患者によって症状の現れ方は大きく異なりました。

日本の高度経済成長期に発生したこの疾患は、「公害の原点」とも呼ばれます。水俣病・第二水俣病(新潟水俣病)・イタイイタイ病・四日市ぜんそくの4つは「四大公害病」として知られており、産業優先の経済発展が地域住民の生命と健康に深刻な被害をもたらした歴史的事実として、現在も語り継がれています。

水俣病啓発の日は、公害の水俣病を忘れないようにとの思いから、2006年(平成18年)に制定されました。一般社団法人・日本記念日協会によって認定・登録されています。発生から70年が経過した今もなお、被害者の補償問題は完全には解決していません。この記念日は、過去の出来事として記録にとどめるのではなく、環境問題や企業の社会的責任を現代において問い直す機会として位置づけられています。