タオルの日 (記念日 4月29日)
日本でタオルが本格的に製造されるようになったのは、明治20年(1887年)頃のことです。大阪・泉佐野や愛媛・今治を起点に産業として根づき、以来130年以上にわたって日本人の生活に欠かせない繊維製品として発展してきました。毎年4月29日は「タオルの日」として、タオル産業の普及と振興を目的に制定された記念日です。
「タオルの日」は、大阪府箕面市に本部を置く大阪タオル卸商業組合が制定しました。日付の4月29日は「よ(4)くふ(2)く(9)」と読む語呂合わせで、「良く拭く」に由来します。タオルを使用する機会が増える春先から初夏にかけての需要をさらに高め、タオル産業全体を盛り上げることを目的としています。2017年(平成29年)に一般社団法人・日本記念日協会により認定・登録され、日本のタオル産業に関わる各種団体が連携して推進していくことを目指しています。
タオルという言葉の語源は、スペイン語の「トアーリャ」またはフランス語の「ティレール」に由来するとされ、いずれも「湿気を拭き取る布」を意味します。工業的な製造が始まったのは1850年、イギリス人のヘンリー・クリスティーが「テリーモーション技術」を発明したことがきっかけです。パイル状の繊維構造により吸水性と柔らかさを両立させるこの技術が、現代のタオルの原型となりました。
日本国内のタオル産業を語るうえで欠かせないのが、愛媛県今治市と大阪府泉州地域という二大産地です。今治は1960年(昭和35年)に生産量・工場数ともに日本最大の産地となり、「四国のマンチェスター」と称されるほどの一大産業集積地として栄えました。今治タオルは、糸を先に晒してから織る「先晒し」の製法によりデザイン性が高く、蒼社川の豊富な伏流水を活用した水晒し仕上げが吸水性と風合いを生み出しています。一方の泉州タオルは、織り上げてから晒す「後晒し」の製法で、高い吸水性と丈夫さが特徴です。
1991年(平成3年)のバブル期には今治の生産量が年間5万トン以上に達しましたが、その後は安価な海外製品の流入によりピーク時の5分の1程度まで落ち込む厳しい時代を経験しました。これを機にブランド再構築への取り組みが加速し、クリエイティブディレクターの佐藤可士和氏が関わった「今治タオルプロジェクト」が立ち上がったことで品質と知名度が国際的に向上し、現在ではインテリアやアパレル分野にまで展開が広がっています。現在も今治市内には200近くの関連工場が集まり、タオル生産の一大拠点であり続けています。
タオルは私たちが毎日使う生活用品でありながら、その産業の背景には長い歴史と技術の積み重ねがあります。タオルの日をきっかけに、手元にあるタオルの産地や製法に目を向けてみることも、日本のものづくりへの理解を深める一歩になるかもしれません。