世界生命の日 (記念日 4月27日)

世界生命の日

「人間は受精の瞬間から自然死にいたるまで、生来の尊厳と固有の価値を有する」——1991年4月27日、東京・上智大学でこの一文が宣言として採択されました。

この「胎児の人権宣言」が生まれたのは、同年4月25日から27日にかけて上智大学で開催された国際生命尊重会議の場です。国際生命尊重連盟の会長であるドクター・ジョン・ウィルキーを中心に、30ヵ国から約50名の出席者が集まりました。会議では南山大学教授の法学者・阿南成一、武蔵工業大学教授の多井一雄、東京基督教大学教授の稲垣久和らが講演を行い、生命の尊厳をめぐる法的・倫理的・神学的な観点から3日間にわたって議論が重ねられました。法学・工学・神学と異なる専門分野を持つ講演者が同じ場に集うという、学際的な構成もこの会議の特徴のひとつです。

宣言には「胎児は受精の時から、科学的・医学的、または医学外的実験や利用に供されない権利を有する」という条項も含まれています。生命の始まりをどこに置くかという問いに対し、受精の瞬間を起点とすることを明確に打ち出した点が、この宣言の核心です。

会議の最終日にあたる4月27日を記念して「世界生命の日」が制定されました。会議がほかでもない日本・東京で開かれたことは、この記念日が日本と深い縁を持つことを示しています。

この会議が開催された1991年は、国内でも生命倫理に関する議論が活発化しつつあった時期にあたります。体外受精や着床前診断といった生殖補助医療の普及が始まり、「いのちの始まり」をめぐる問いが科学・法律・宗教の各分野で改めて問われるようになっていました。30ヵ国もの研究者や活動家が東京に集い、生命の定義そのものをめぐって議論を交わしたこの会議は、そうした時代の問いに正面から向き合う国際的な場となりました。