乗馬許可記念日 (記念日 4月19日)
江戸時代の日本では、馬に乗ることは武士だけに認められた特権でした。馬術は「武芸十八般」の一つとして数えられ、弓術や剣術、槍術などと並ぶ重要な武技とされていたからです。商人や農民が馬に乗ることは厳しく禁じられており、馬はあくまでも合戦のための兵器であり、支配階級の象徴でもありました。
その禁が解かれたのは、1871年(明治4年)のこの日のことです。江戸幕府から明治政府へと権力が移り、身分制度が大きく変わるなかで、庶民への乗馬が正式に許可されました。武士階級の解体とともに、長らく武芸の象徴であった馬術も、一般の人々へと開かれることになったのです。
武芸十八般とは、合戦で戦うために修得すべきとされた18種類の武技の総称です。その内容は時代や流派によって多少の違いがありましたが、弓術・水術・薙刀術・槍術・剣術・小具足・棒術・杖術・鎖鎌術・分銅鎖・手裏剣などが代表的な武技として挙げられます。馬術はこれらと並んで数えられており、単なる移動手段ではなく、武士が戦場で生き抜くための技芸として位置づけられていました。明治以降、日本の馬術はその方向を大きく変えます。江戸時代に育まれた日本伝統の馬術ではなく、西洋馬術が主流として取り入れられていきました。近代化・西洋化を推し進める明治政府の方針を反映したものであり、軍事面でも実用面でも西洋式の騎乗技術が重視されるようになったのです。現代の競技馬術やオリンピック種目に採用されている馬術も、こうした流れを汲んでいます。
今日では乗馬は広くスポーツや趣味として親しまれており、全国各地に乗馬クラブが設けられています。かつては武士だけに許された馬との時間が、今では誰もが体験できるものになりました。明治の解禁から150年以上を経た現在、乗馬許可記念日はその歴史的な転換点を静かに伝えています。
参考リンク: