中央線開業記念日 (記念日 4月11日)
1889年(明治22年)4月11日、民間資本による私鉄・甲武鉄道が新宿駅〜立川駅間(約27km)で営業を開始した。これが現在のJR中央線の誕生です。官営鉄道が主流だった時代に、東京西郊の開発を目的として設立された甲武鉄道は、同年8月には立川駅〜八王子駅間を延伸し、東京と多摩地域を結ぶ幹線鉄道としての骨格を整えていきました。
その後、路線は段階的に西へ延び、1906年(明治39年)6月には官設鉄道・中央線として八王子駅〜甲府駅間が開通しました。同年10月1日、鉄道国有法の施行により甲武鉄道は政府に買収され、私鉄として出発した路線はわずか17年で国有化の道をたどりました。民間活力が開いた路線が、国策の転換によって国鉄路線へと組み込まれていく過程は、明治期の鉄道史の縮図ともいえます。
国有化から80年以上が経過した1987年(昭和62年)4月1日、国鉄分割民営化によってJR東日本が中央線を継承しました。現在の中央線(中央本線)は、東京駅から新宿を経て塩尻駅を通り名古屋駅まで至る約400kmの幹線であり、東京駅〜塩尻駅間はJR東日本、塩尻駅〜名古屋駅間はJR東海がそれぞれ管轄しています。首都圏の通勤路線から中部山岳地帯を貫く長距離列車まで、一本の路線が担う役割の多様さは際立っています。
路線名についても興味深い経緯があります。国鉄時代の線路名称公告では、中央本線・青梅線・五日市線などをまとめた総称として「中央線」が用いられていました。ところが国鉄分割民営化の際の基本計画で路線名が「中央線」と定められたため、従来「中央本線」と呼ばれていた路線に対しても公文書を中心に「中央線」の表記が普及しました。現在も国土交通省などは「中央線」、民間では「中央本線」との混用が続いており、歴史的な命名の変遷がそのまま残存している形となっています。
甲武鉄道の創業から135年余り、路線は私鉄・国鉄・JRと三度その姿を変えながら、東京と中部地方を結ぶ大動脈として機能し続けています。4月11日はその原点、わずか27kmの区間から始まった鉄道の歴史を振り返る日でもあります。