鍼灸の日 (記念日 4月9日)

鍼灸の日

日本において鍼灸の歴史は1300年以上にわたります。701年の大宝律令では「鍼博士」という官職が設けられ、国の医療制度に組み込まれました。江戸時代には全盲の鍼灸師・杉山和一が細い鍼を管に入れて刺入する「管鍼術」を考案し、日本独自の鍼技術として発展させました。松尾芭蕉の『奥の細道』にも足の三里へのお灸が養生法として記されており、当時の庶民生活に鍼灸が根づいていた様子がうかがえます。現在、鍼灸師になるには「はり師」「きゅう師」の2種類の国家試験に合格する必要があります。2025年の試験では、はり師の合格者数は3,066人、合格率は73.9%でした。厚生労働省の衛生行政報告例によると、はり・きゅう施術所の数は全国で増加傾向にあり、それだけ鍼灸への需要が広がっていることを示しています。健康保険の適用は神経痛・リウマチ・頸腕症候群・五十肩・腰痛症・頸椎捻挫後遺症の6疾患に限られており、医師の同意書が必要ですが、自費診療として幅広い症状に用いられています。

4月9日の「鍼灸の日」は、「し(4)んきゅう(9)」という語呂合わせに由来します。東京都渋谷区神宮前に事務局を置く一般社団法人・日本鍼灸協会が制定し、2017年(平成29年)に一般社団法人・日本記念日協会によって認定・登録されました。「鍼灸をもっと身近に、もっと手軽に、もっと安心に」との思いから啓発活動を行う日として設けられており、この日を中心に各地でイベントやキャンペーンが実施されています。

鍼灸は身体に鍼や灸で刺激を与えることで、多様な疾患への治療的介入と健康増進を目指す医療技術です。中国を中心とする東アジアの伝統医学に根ざしながら、日本では管鍼術をはじめとする独自の技法が発展し、現代では世界保健機関(WHO)も鍼灸の有効性を認める疾患リストを公表しています。