忠犬ハチ公の日 (記念日 4月8日)
1935年3月8日、渋谷駅の近くで一頭の秋田犬が息を引き取りました。名前はハチ公。飼い主の上野英三郎博士が急死した1925年から数えて、約10年間にわたって渋谷駅前で主人の帰りを待ち続けた犬です。その命日からちょうど1ヶ月後の4月8日が「忠犬ハチ公の日」とされています。忠犬ハチ公銅像及び秋田犬群像維持会が制定しました。
ハチ公は1923年(大正12年)に秋田県で生まれ、翌1924年に東京帝国大学農学部教授・上野英三郎博士の元へ引き取られました。渋谷の自宅から博士を駅まで見送り、帰宅時には出迎えるという習慣が自然に生まれたとされています。ところが1925年5月、博士は大学内で急性心不全のため急逝しました。ハチ公はその後も渋谷駅前に通い続け、9歳で死ぬまでの10年間、主人が帰ってくることのない駅前に毎日姿を見せました。
当初、駅周辺の人々からは邪魔者扱いされることもあったといいます。転機は1932年(昭和7年)、新聞記者の目にとまりその姿が全国紙に大きく取り上げられたことです。記事は広く反響を呼び、ハチ公は「忠犬」として知られるようになりました。1934年(昭和9年)には彫刻家・安藤照の手による銅像が渋谷駅前に建てられ、除幕式にはハチ公自身が連れてこられています。存命中に自分の銅像の完成を見届けるという、珍しい経緯です。しかしその銅像は戦時中の金属供出令によって撤去されてしまいます。現在、渋谷駅前に立っている銅像は、安藤照の息子・安藤士が父の遺志を継いで1947年(昭和22年)に再建したものです。初代とは別物ですが、形はほぼ同じ姿を再現しています。ハチ公の遺体は剥製として国立科学博物館に収蔵されており、今も見ることができます。
10年間待ち続けた事実だけが、ここに残っています。
毎年4月8日には渋谷駅前と、ハチ公の生まれ故郷である秋田県大館市の両方で慰霊祭が執り行われます。大館市はハチ公を「市の犬」として公認しており、駅前にも銅像が設置されています。渋谷の銅像は今も待ち合わせ場所として多くの人が集まりますが、その場所でかつて一頭の犬が10年間待ち続けたという事実は、銅像の来歴として記憶されています。