トランスジェンダーの日 (記念日 4月4日)
3月3日と5月5日——「桃の節句」と「端午の節句」のちょうど中間にあたる4月4日は、「トランスジェンダーの日」です。この日付の選び方に、制定の意図がすべて込められています。男の子の日と女の子の日の狭間に位置するこの日を、男女の二項対立では捉えきれない性のあり方を持つ人々のための記念日とする——そのような発想から生まれました。
制定したのは、「TSとTGを支える人々の会」(Trans-Net Japan)です。性同一性障害(GID)・トランスセクシュアル(TS)・トランスジェンダー(TG)の当事者および支援者による自助グループで、1999年(平成11年)2月に記念日を制定しました。同会は、埼玉医科大学倫理委員会が性同一性障害に関する答申を発表したことをきっかけに、国内に支援・自助グループが存在しないことへの問題意識から生まれた団体です。
記念日の目的は、「男と女」だけでは捉えきれない性の多様性について、社会的な理解を広げることにあります。トランスジェンダーとは、出生時に割り当てられた性別と自己の性自認が一致しない人々を広く指す言葉で、トランスセクシュアルや性同一性障害もその範囲に含まれます。日本では2000年代以降、性同一性障害特例法(2004年施行)の制定などを経て、法的な性別変更が可能になりましたが、社会的な認知や支援体制の整備はなお途上にあります。
「トランスジェンダーの日」は日本記念日協会の認定記念日との情報も一部に見られますが、2018年(平成30年)4月時点では同協会の認定リストでの確認はできていません。一方、国際的な場では11月20日が「トランスジェンダー追悼の日」(Transgender Day of Remembrance)として広く知られており、ヘイトクライムなどで亡くなったトランスジェンダーの人々を追悼する日として世界各地で式典が行われています。また3月31日は「国際トランスジェンダー認知の日」(International Transgender Day of Visibility)として、当事者の存在を可視化することを目的に認識されています。4月4日の日本独自の記念日は、こうした国際的な動きとは別に、日本の文化的文脈——節句という慣習——を手がかりにして性の多様性を伝えようとした点が特徴的です。