神武天皇祭 (記念日 4月3日)

神武天皇祭

日本の初代天皇・神武天皇が崩御されたとされる4月3日、宮中の皇霊殿では今も静かに祭祀が執り行われています。これが「神武天皇祭」です。

神武天皇は日本神話において天照大神の五代目の子孫とされ、九州の日向国高千穂から東へと向かった「神武東征」の末に大和を平定した人物です。険しい吉野の山中では三本足の霊鳥・八咫烏に道案内され、各地の豪族を従えながら大和の地に至りました。紀元前660年2月11日(旧暦1月1日)、畝傍山のふもとの橿原宮において初代天皇として即位し、日本という国の礎を築いたとされています。その崩御年は127歳とも伝えられており、神話的な長寿が記録に残っています。

神武天皇祭が制度として整えられたのは明治時代のことです。1871年(明治4年)に「四時祭典定則」が定められ、天皇崩御の日に祭祀を行う規則が設けられました。さらに1908年(明治41年)の「皇室祭祀令」によって法制化され、祭祀としての格式が正式に確立されました。また1874年(明治7年)から1948年(昭和23年)にかけては国民の祝祭日(休日)としても位置づけられ、社会全体で神武天皇の遺徳を偲ぶ日となっていました。

神武天皇陵に治定されている奈良県橿原市の畝傍山東北陵でも、この日に陵墓祭が執り行われます。同じ橿原の地に鎮座する橿原神宮は、神武天皇が即位した橿原宮の跡地に、明治23年(1890年)に創建された神社であり、神武天皇を御祭神として祀っています。陵と神社が同じ地に存在することで、橿原は「日本のはじまり」の地として深く象徴的な意味を持っています。

1947年(昭和22年)、神武天皇祭は法令上廃止され、翌年からは祝祭日としての扱いも終わりました。しかしその後も皇室祭祀としての営みは途絶えることなく続いており、毎年4月3日には宮中と橿原の地で静かに儀式が行われています。公的な祝日としての位置を失っても変わらず受け継がれてきたその祭祀は、神話の時代から続く日本の記憶の一端を今に伝えるものです。