山菜の日 (記念日 3月31日)
春の山菜が地面を押しのけて顔を出す前から、その到来を待ちわびる人がいます。山形県西村山郡西川町の「出羽屋」は、そうした山菜への思いを形にするために3月31日を「山菜の日」として制定しました。「さん(3)さん(3)いー(1)」と読む語呂合わせとともに、雪深い西川町でひとつの季節の節目を示す日として設けられています。記念日は一般社団法人・日本記念日協会に認定・登録されています。
出羽屋の起源は山菜料理とは別のところにあります。出羽三山への山岳信仰の参拝者、いわゆる行者の宿として始まった宿で、疲れた行者に食事と湯で身体を休めてもらうことが出発点でした。そこで供された「山のもの」料理がやがて「山菜料理」と呼ばれるようになり、全国でも珍しい山菜料理専門の宿として知られるようになっていきました。出羽三山は羽黒山・月山・湯殿山の三山からなる山岳信仰の聖地で、西川町はその月山の麓に位置しています。行者たちが山を下りた後に立ち寄る宿として、出羽屋はその地に根を張ってきました。
山菜は野生植物である性質上、収穫量が限られ、苦みや灰汁が強いものも少なくありません。しかし出羽屋では、その独特の風味こそを活かすことを軸に料理を組み立ててきました。春のタラの芽をはじめ、夏・秋・冬それぞれの季節に応じた山菜を使い、素材の鮮度を最優先にした調理法と、長年培われてきた保存技術を組み合わせています。どこか懐かしさを感じさせる仕上がりは、山と人との長い関係の積み重ねから生まれたものです。
山菜の食べ方・保存方法・加工食品などを広く知ってもらうことが、この記念日の目的です。旬の短さと希少性が、山菜を特別な食材として位置づけてきました。