グリーンツーリズムの日 (記念日 3月28日)

グリーンツーリズムの日

1996年(平成8年)3月28日、大分県宇佐市安心院町で80人の来訪者を迎えることから始まった小さな取り組みが、現在では年間約1万人が訪れる「農泊発祥の地」へと成長しています。この3月28日を記念して制定されたのが「グリーンツーリズムの日」です。NPO法人「大分県グリーンツーリズム研究会」が2013年(平成25年)に制定し、一般社団法人・日本記念日協会に認定・登録されています。

グリーンツーリズムとは、農山漁村において自然・文化・地域の人々との交流を楽しむ滞在型の余暇活動のことです。安心院町での活動は「安心院方式」と呼ばれ、農家が観光客を「親戚」として受け入れ、農作業や田舎料理を一緒に体験する形をとります。1日1組を原則とし、農家のありのままの暮らしのなかで交流するスタイルが特徴です。

この活動の発端は、宮田静一氏ら地元の農家が「土からモノを作るだけの農業では食べていけない」という課題意識から研究会を立ち上げたことにあります。町内で開かれるワイン祭りに来た客に朝食付きの宿泊(B&B)を提供したのが会員制農村民泊の始まりとされます。その後、旅館業法・食品衛生法との関係が問題となりましたが、大分県は2002年(平成14年)3月28日に「グリーンツーリズム通知」を発令し、全国に先駆けて民泊施設の営業許可条件を大幅に緩和しました。この大分県の通知が翌年には国の旅館業法施行規則にも反映され、「安心院方式」は全国モデルとして広まっていきます。また、安心院町グリーンツーリズム研究会は「農泊」という言葉を農村民泊の略として使い始めた団体でもあり、2003年(平成15年)に商標登録、2018年(平成30年)には農林水産省がその使用権を取得するほど、行政にも浸透した概念となっています。

現在、安心院町には「グリーンツーリズム発祥の地」の記念碑が建てられており、3月28日前後には大分県全体で特別価格による農村民泊の受け入れイベントが行われます。わずか80人からスタートした取り組みが、国の農業政策を動かすまでに至った経緯は、地方の小さな農村から発信されたアイデアが制度を変えた事例として、今も語り継がれています。