プリの日 (記念日 3月21日)
1995年7月25日、ゲームセンターにひとつの機械が置かれた。セガが開発した「プリント倶楽部」——通称プリクラの誕生である。当初はその用途が伝わりにくく、反響は限定的だったが、翌1996年には爆発的なブームが起きる。女子中高生たちがゲームセンターに列をなし、シールを交換し合う文化が生まれた。「プリント倶楽部~」という独特の掛け声とともに、プリクラは平成の青春を象徴するアイテムへとのし上がっていった。
ブームの過熱とともに「男子禁制」のゲームセンターが登場するなど、プリクラは単なる遊びを超えた社会現象となった。
技術面でも時代とともに大きく変化してきた。2000年前後からは「デカ目」機能が登場し、目を大きく見せる加工がティーンの間で熱狂的に支持された。2011年前後にはアイドル文化の影響でナチュラル志向へとシフトし、さらに2016年頃からは「盛れる」をキーワードに、顔のパーツを細かく調整できるレタッチ機能が充実。スマートフォンの自撮りとは異なる、独自の「プリ機らしい盛り方」が確立されていった。2020年代に入ると3秒動画を撮影できる機種や、専用アプリと連携してシールが動き出すAR機能を搭載した機種も登場し、進化は今も続いている。
この業界でトップシェアを誇るのがフリュー株式会社だ。現在は国内プリントシール機市場においてシェア約9割を占め、プリ機文化そのものを牽引している。同社が2017年(平成29年)に制定したのが「プリの日」。毎年3月21日がその日にあたる。
日付の由来はシンプルかつ絶妙だ。プリ機で撮影するとき、機械は「3・2・1」とカウントダウンのガイド音声を流す。その「3(さん)・2(に)・1(いち)」を3月21日に当てはめたというわけである。
プリの日の制定には、プリ機の多彩な魅力を世代を越えて伝えたいという思いが込められている。平成のギャル文化とともに育った世代も、スマホネイティブのZ世代も、プリ機の前では同じように盛り上がれる。令和10代女性の86%がプリ機を利用しているというデータもあり、スマホカメラとは異なる「雰囲気盛り」の体験として、プリ機は今なお唯一無二の存在感を放っている。誕生から約30年、プリ機は色褪せるどころかアップデートし続けている。