聖パトリックの祝日 (記念日 3月17日)

聖パトリックの祝日

5世紀のブリタニア(現在のウェールズ周辺)に生まれた聖パトリックは、16歳のときにアイルランドの海賊に拉致され、奴隷として売られました。アントリムの地で羊飼いとして6年間を過ごした後、脱出に成功してブリタニアへ帰還します。その後、キリスト教の信仰をより深めた聖パトリックは、435年頃に自らアイルランドへ戻り、各地で伝道活動を展開しました。365もの教会を建て、12万人以上が改宗したと伝えられています。

3月17日は聖パトリックが461年頃に亡くなった命日にあたります。カトリック教会ではこの日を聖名祝日として定め、聖人を記念しています。アイルランドでは古くからこの日を祝う伝統が続いており、1903年に正式な祝日として法制化されました。イギリスからの独立後、祭礼としての規模は徐々に拡大し、1996年にはアイルランド政府が主導してダブリンで5日間のフェスティバルが開催されるようになりました。

この祝日の象徴として知られるシャムロック(三つ葉のクローバー)は、聖パトリックがアイルランドの人々にキリスト教の三位一体の概念を説明する際、三枚の葉を持つクローバーを手に取って例えたことに由来するとされています。一本の茎に三枚の葉が生える姿が、父・子・聖霊の三位一体を表すとして、聖パトリックの伝道にとって欠かせない道具となりました。現在もこの日に服へシャムロックを飾る慣習が各地で受け継がれています。

緑色はシャムロックの色に由来し、「緑の物を身につけると幸せになれる」との言い伝えから、この日は「緑の日」とも呼ばれます。世界中でパレードが催され、ニューヨーク市の5番街では毎年15万人が行進し、200万人を超える観衆が集まります。シカゴでは市職員がシカゴ川に緑色の染料を流し込み、川全体を鮮やかな緑色に染めるという独特の伝統が続いています。アメリカ・オーストラリア・カナダなど、アイルランド系移民が多く暮らす国々では、バグパイプの演奏やアイリッシュダンス、緑色に染めたビールとともに賑やかに祝われています。

アイルランド本国より世界各地での盛り上がりが際立つとも言われるほど、現在の聖パトリックの祝日は国際色豊かな祭日となっています。