ドメインの日 (記念日 3月15日)

ドメインの日

1985年3月15日、インターネットの歴史に小さくも重大な一歩が刻まれた。マサチューセッツ州ケンブリッジのコンピューター製造会社Symbolics社が「symbolics.com」というドメインネームを登録したのだ。これが世界で初めて正式なDNS管理手順に沿って登録されたドメイン、すなわち今日私たちが当たり前のように使うインターネット上の「住所」の第一号である。

当時のドメイン登録は、いまのような自動化されたシステムとはほど遠かった。申請者はスタンフォード研究所(SRI-NIC)にメールを送り、担当者が手作業でリストに追加するという方法が取られていた。Symbolics社はMITの人工知能研究所から派生した企業で、LISPマシンと呼ばれる専用コンピューターの開発で知られていた。華々しいテクノロジー企業だったが、1980年代後半には経営難に陥り、2009年にはドメインのみが売却された。それでも「symbolics.com」という名は、インターネット史の出発点として永遠に記録され続けている。

この歴史的な出来事から32年後の2017年、国内最多水準の1,050種類以上のドメインを提供する株式会社インターリンクが、3月15日を「ドメインの日」として制定し、一般社団法人・日本記念日協会により認定・登録された。目的は、まだあまり知られていない新しいドメインや、世界各国に割り当てられた国別ドメインの認知度を高めることにある。

ドメインといえば「.com」「.net」「.jp」が真っ先に思い浮かぶが、実際にはその数は膨大だ。感情を表現する「.love」「.moe」「.cool」「.wtf」、色で分類した「.red」「.blue」「.pink」「.black」、地名系の「.tokyo」「.earth」、さらに「.dog」「.wiki」「.shop」「.game」「.band」「.rich」、日本語ドメインの「.コム」「.世界」まで存在する。国別では「.us」(アメリカ)、「.cn」(中国)、「.uk」(イギリス)、「.de」(ドイツ)、「.ru」(ロシア)、「.au」(オーストラリア)など、世界の国・地域ごとに固有のドメインが割り当てられている。

ドメインはただの文字列ではなく、その組織や人物のアイデンティティを示す看板でもある。「symbolics.com」が登録されてから40年以上が経ち、登録済みドメイン数は世界で3億件を超えた。3月15日は、その広大なインターネット空間の起点となった日として、改めて記憶したい一日だ。