横浜三塔の日 (記念日 3月10日)

横浜三塔の日

横浜港に入港してくる外国人船員たちが、トランプのカードに例えて名付けたとされる3つの塔——キング、クイーン、ジャック。この愛称が示すように、横浜三塔は単なる歴史的建造物にとどまらず、港湾都市横浜の個性を象徴する存在として長年親しまれてきました。

3月10日は「横浜三塔の日」です。「さん(3)とう(10)」という語呂合わせから、公益財団法人「横浜観光コンベンション・ビューロー」が2007年(平成19年)に制定しました。この記念日を前後して、横浜市開港記念会館(ジャックの塔)を中心に三塔が連携したイベントが開催され、記念コンサートや普段は非公開のジャックの塔に登るツアーなどが実施されます。

横浜三塔とは、横浜市中区の関内地区に立つ3つの歴史的建造物の愛称です。キングの塔は神奈川県庁本庁舎(高さ約49m)、クイーンの塔は横浜税関(高さ約51m)、ジャックの塔は横浜市開港記念会館(高さ約36m)を指します。建設当時、周囲に高い建物はほとんどなく、横浜港に入る船の目印として機能していました。なかでもキングの塔には、横浜港の守り神とされる伊勢山皇大神宮の分霊が祀られており、単なる庁舎以上の意味を持つ建造物でもありました。トランプのカードに例えた愛称が定着する前から、これらの塔は港に集う人々の視線を集め続けていたのです。

その後、都市開発が進むにつれ周囲にビルが林立し、かつてのような際立つ存在感は薄れました。それでも三塔は横浜港のシンボルとして市民の記憶に刻まれ続けています。近年では「横浜三塔物語」と呼ばれる都市伝説も生まれました。神奈川県庁の正面、横浜赤レンガ倉庫、大さん橋国際客船ターミナルという3つのスポットすべてから三塔を同時に眺めると願いが叶うというもので、散策の動機としても人気を集めています。

ジャックの塔がある横浜市開港記念会館は1917年(大正6年)の開港50周年を記念して建設され、国の重要文化財にも指定されています。三塔はそれぞれ異なる時代背景のなかで建てられたにもかかわらず、関内地区の景観に独特のリズムをつくり出しており、横浜ならではの歴史的な港湾風景の一部となっています。