東京都平和の日 (記念日 3月10日)

東京都平和の日

1945年3月10日深夜0時8分、東京の下町上空にアメリカ軍のB-29爆撃機が飛来しました。「ミーティングハウス2号作戦」と呼ばれたこの爆撃は、約2時間にわたって大量の焼夷弾を投下し続け、東京の市街地を焼き尽くしました。死者は約10万人、焼失・倒壊した家屋は約27万戸にのぼり、41平方キロメートルの地域が一夜にして灰燼に帰しました。人類の戦史においても最大規模の都市爆撃のひとつとされています。

東京都は、この空襲の惨禍を記憶にとどめ、平和への誓いを新たにするため、1990年(平成2年)7月に「東京都平和の日条例」を制定し、毎年3月10日を「東京都平和の日」と定めました。首都として戦争の犠牲と向き合い、不戦の意思を示す日として位置づけられています。

毎年この日には「東京都平和の日記念式典」が開催され、空襲で犠牲になった方々への追悼と平和への思いを確認する場となっています。あわせて「東京空襲資料展」も実施され、当時の記録写真や遺品、証言資料などが展示されます。被災の実態を直接知る世代が少なくなるなか、資料と記録の継承は年を重ねるごとに重みを増しています。

空襲の記録と遺品を系統的に保存・展示する施設として、東京都江東区には「東京大空襲・戦災資料センター」があります。被災者の証言映像や焼夷弾の実物、当夜の被害状況を示す地図など、一次資料を中心に収集・公開しています。また、隅田川沿いの墨田区横網町公園には「東京都慰霊堂」があり、空襲の犠牲者をはじめ関東大震災の遭難者の遺骨も合祀されています。

3月10日は、東京という都市が経験した最も深刻な一夜を忘れないための日です。東京都では、この日を単なる追悼にとどめず、平和の意識を次世代へと引き継ぐ機会として位置づけています。