スリッパを楽しむ日 (記念日 3月8日)
スリッパは、日本生まれの履き物です。1868年頃、東京で仕立屋を営んでいた徳野利三郎が、靴を脱ぐ習慣のなかった横浜居留地の外国人向けに室内用の上履きを製作したのが始まりとされています。「足を滑り込ませて履く」という動作から、英語の「slip(滑る)」に由来して「slipper」と呼ばれるようになりました。日本発祥の品でありながら名前は英語というのが面白いところです。その後、靴を脱いで室内に入る日本の習慣とうまく融合し、日本独自の室内履き文化として定着していきました。3月8日は「スリッパを楽しむ日」で、石川県金沢市に本社を置くユニベール株式会社が「スリ(3)ッパ(8)」の語呂合わせから制定し、2019年に日本記念日協会により認定・登録されました。スリッパの履き心地のよさと利便性を広め、友人・家族・恋人同士で贈り合って楽しめる日にしたいという思いが込められています。
現在、日本のスリッパ生産で知られるのが山形県河北町です。国内シェアの約9割を占めるとも言われ、「かほくスリッパ」としてブランド化されています。素材・デザイン・機能性の面でさまざまな製品が作られており、ルームシューズや来客用スリッパなど、暮らしの中での使い分けも定着しています。
スリッパが日本の生活に根付いた背景には、玄関で外履きを脱ぐ文化があります。その習慣と、室内で足元を保護・保温するという実用性がうまく組み合わさり、今では「来客にスリッパを用意する」というおもてなしの形にまで発展しました。冬の冷たい床対策としても重宝され、贈り物としても喜ばれる実用品として、日常の中に静かに存在しています。