町家の日 (記念日 3月8日)

町家の日

かつて京都市内には約47,700軒あったとされる京町家ですが、平成20年代のわずか7年間で約7,500軒が姿を消し、最盛期には年間800棟以上、1日2棟のペースで取り壊されていました。「うなぎの寝床」と呼ばれる細長い敷地に通り庭・坪庭・続き間を備えたこの建築様式は、平安後期の絵巻物にすでにその原型が描かれており、千年以上にわたって京の街並みを形成してきました。3月8日は「町家の日」です。3月をMarch(マーチ)、8日を「や」と読んで「まちや」とする語呂合わせで、京町家情報センター(京都市中京区)が制定し、2016年(平成28年)に一般社団法人・日本記念日協会に認定・登録されました。町家に蓄積されてきた暮らしと建物の知恵を再評価し、その保全と再生を広く訴えることを目的としています。

京町家には先人の知恵が詰まっています。通り庭(土間)は屋根の一方向に沿って奥まで延び、夏場の風通しを確保するとともに台所仕事の動線を兼ねます。坪庭は採光と通風を調節する装置として機能し、格子戸や出格子は外からの視線を遮りながら内側から外を見通せる構造です。こうした仕掛けは、京都の蒸し暑い夏と寒い冬を乗り越えるための合理的な設計として生まれたものです。

危機感を背景に、京都市は2017年(平成29年)11月に「京都市京町家の保全及び継承に関する条例」を制定しました。解体前の事前届出制度を設け、取り壊し計画を事前に把握して保全に結びつける仕組みを整えています。条例施行後、指定制度による個別保護も進んでいますが、相続税の負担や維持修繕費の高さといった現実的な課題は依然残っています。「町家の日」が毎年3月8日に迎えられるたびに、こうした問題があらためて社会の目に触れることになります。