みやげの日 (記念日 3月8日)
旅から戻った人が差し出す荷物の中に、必ずといってよいほど入っているお土産。その語源をたどると、神社との深い関わりが見えてきます。「みやげ」の語源として有力なのは「宮笥(みやけ)」説で、神前に供えられた食物を入れる器のことを指していました。神事が終わった後、その供物を参列できなかった人へ持ち帰ったことが、お土産の原点とされています。
「土産」という漢字を当てるようになったのは室町末期以降のことで、それ以前は「宮笥」「都笥」など複数の表記が混在していました。漢字の「土産」はもともと「どさん」または「とさん」と読む漢語で、「その土地の産物」を意味します。旅先の特産品を持ち帰る習慣が広まるにつれ、この漢字が「みやげ」に当てられるようになりました。お土産文化が庶民に定着したのは江戸時代のことで、伊勢神宮への集団参拝である「お伊勢参り」が流行したことで各地から信者たちが旅に出るようになり、留守番をしていた家族や近隣の人々へ旅先の名産品を持ち帰る風習が広く根付きます。旅が特別なものだった時代、土産品は「見知らぬ土地を体験してきた証」でもありました。
3月8日が「みやげの日」なのは、「み(3)や(8)げ」という語呂合わせによります。制定したのは、観光物産業界として初の全国組織である全国観光物産振興協会で、1997年(平成9年)の設立から3年後の2000年(平成12年)に定めました。観光客の増加とともに土産品の需要拡大を図ることが目的です。
なお、旅先で見聞きした体験や話を持ち帰って語ることを「土産話(みやげばなし)」と呼びます。モノだけでなく、話そのものも「みやげ」になるという感覚は、情報が限られていた時代の旅の価値を今に伝えています。