エスカレーターの日 (記念日 3月8日)

エスカレーターの日

1914年(大正3年)3月8日、東京・上野の大正博覧会の会場に、日本で初めてエスカレーターが設置されました。第1会場と第2会場をつなぐこの装置は、秒速1尺(約30センチ)というゆったりとした速度で動き、乗るたびに10銭の料金が徴収されました。当時の人々にとって「動く階段」は完全な未知の体験であり、乗り込む様子を見届けようと多くの見物客が集まったとされています。

開設からわずか3週間後の3月29日、日本初のエスカレーター事故が起きます。振動の影響で74歳の女性が振り落とされて顔に2週間のケガを負い、同じ日に2歳の少女がステップに足を挟まれてケガをしました。動く機械に人を乗せるという発想自体がまだ黎明期にあり、安全基準も運用ノウハウも手探りの時代だった、という背景があります。「エスカレーター(Escalator)」という語はもともとアメリカのオーチス・エレベーター社(Otis Elevator Company)の登録商標でした。自動式階段を表す適切な一般名称がほかになかったため、商品名がそのまま定着し、やがて普通名詞として広く使われるようになりました。同社はすでに商標権を放棄しています。

その後、日本の百貨店にエスカレーターが普及した時代には、乗り口に「エスカレーターガール」と呼ばれる女性スタッフが立ち、乗降の案内を行っていました。自動化された機械であるにもかかわらず、人が隣に立って誘導しなければならないほど、乗り慣れていない人が多かった時代の話です。現在では日本国内に数万台が稼働し、地下鉄・商業施設・空港など日常のあらゆる場面に溶け込んでいますが、香川県には日本最長のエスカレーターが存在します。