世界リンパ浮腫の日 (記念日 3月6日)

世界リンパ浮腫の日

がん治療を受けた後、腕や脚のむくみが続くことがあります。その多くは「リンパ浮腫」と呼ばれる症状で、日本には推定15〜20万人の患者がいると言われています。乳がん術後では約30%、婦人科系のがん(子宮がん・卵巣がんなど)でリンパ節を切除した後では28〜47%に発症するとされており、決して珍しい後遺症ではありません。

リンパ浮腫が起こる仕組みはこうです。手術でリンパ節を取り除いたり、放射線治療を受けたりすると、体内のリンパの流れが滞ります。すると、組織液がうまく排出されずにたまり、腕や脚が慢性的にむくむ状態になります。乳がん・子宮がん・卵巣がん・前立腺がん・皮膚がんなどの治療後に起こりやすく、後遺症として長期間にわたって患者の生活に影響を与えます。

発症時期には大きな個人差があります。手術直後から症状が現れるケースもあれば、10年以上経過してから発症するケースもあります。がん治療を終えて安堵した後に症状が出ることも多く、患者にとって精神的な負担にもなります。一度発症すると完治が難しいため、早期発見と早期対処が重要です。

治療の中心は「複合的理学療法」です。弾性ストッキングや弾性包帯を使った圧迫療法、リンパドレナージ(やさしくさすってリンパの流れを助けるマッサージ)、圧迫状態での運動療法、スキンケアを組み合わせて行います。軽症であれば、こうしたセルフケアを続けながら日常生活を送ることが可能です。重症例には、リンパ管と静脈をつなぐ手術(リンパ管静脈吻合)やリンパ節移植といった外科的治療も選択肢となっています。

3月6日は「世界リンパ浮腫の日」です。2016年(平成28年)にアメリカの上院が3月6日を「World Lymphedema Day」と定め、リンパ浮腫の認識を高める取り組みが始まりました。日本では、患者と医療者の会「リンパ浮腫サポートネットワーク・リンパカフェ」が同じ日を記念日とし、啓発活動を広めています。2018年(平成30年)には日本記念日協会に認定・登録されました。年間約1万人の新たな患者が生まれているとされる中、治療環境の整備と正しい知識の普及を目指しています。