後楽園開園記念日 (記念日 3月2日)

後楽園開園記念日

「岡山の後楽園は、東京ドーム約3倍の広さを誇る庭園である」——そう聞いても、その規模感はなかなか実感しにくいかもしれません。総面積133,000平方メートルに広がる池泉回遊式の庭園が、完成から300年以上にわたって人々を迎え続けてきた場所、それが後楽園です。3月2日は、1884年(明治17年)にこの庭園が池田家から岡山県の所有となり、広く一般に公開されたことを記念して、岡山県が定めた「後楽園開園記念日」です。後楽園の起源は江戸時代初期にさかのぼります。岡山藩2代藩主・池田綱政が1687年(貞享4年)に造営を命じ、14年の歳月をかけて1700年(元禄13年)に完成しました。岡山市内を流れる旭川をはさんで岡山城の対岸の中州に位置し、岡山城や周辺の山々を借景として取り込んだ設計が特徴です。藩主が賓客をもてなした建物・延養亭(えんようてい)を中心に据えた造りで、江戸時代には庭園を「後園」または「御後園」と呼んでいました。

「後楽園」という名称が定まったのは、明治に入ってからのことです。1871年(明治4年)、岡山藩10代藩主・池田章政が一般開放にあたってこの名を採用しました。名の由来は、中国・宋の学者・范仲淹(はん ちゅうえん)が著した『岳陽楼記』に記された「先憂後楽」の思想です。「天下の憂いに先んじて憂え、天下の楽しみにおくれて楽しむ」という言葉には、為政者としての矜持が込められており、庭園の名称にそのまま哲学を刻み込んだことになります。

後楽園は現在、国の特別名勝に指定されており、石川県金沢市の兼六園、茨城県水戸市の偕楽園とともに「日本三名園」の一つに数えられています。通常の入園料は大人410円、65歳以上のシニアは140円ですが、毎年3月2日の開園記念日には入園が無料となります。2000年(平成12年)には築庭300周年を迎えており、造営から3世紀以上が経った今も、池泉と松の緑が訪れる人を静かに迎えています。