切抜の日 (記念日 3月1日)
1890年(明治23年)のこの日、山縣有朋の発案によって日本初の切り抜き会社「日本諸新聞切抜通信」が設立されました。山縣有朋は内務省の命で欧州に滞在中、現地の切り抜き会社を利用した経験を持ち、帰国後に日本での創業を促したとされています。新聞や雑誌から必要な情報だけを選び取って届けるというビジネスモデルは、当時の日本では全く新しい試みでした。この記念日は、東京都新宿区大久保に本社を置く株式会社内外切抜通信社が制定し、2008年(平成20年)に一般社団法人・日本記念日協会によって認定・登録されました。
「日本諸新聞切抜通信」の設立後、業界は徐々に広がりを見せます。「愛国切抜」「時事通信切抜通信部」「帝国切抜通信社(大阪)」など複数の企業が相次いで設立され、情報を選別・提供するという専門業が日本社会に根付いていきました。企業や官公庁が自社に関する報道を把握したいというニーズは、メディアが発達するにつれて拡大の一途をたどりました。
現代のクリッピング業務は、紙の切り抜きにとどまりません。内外切抜通信社は1939年(昭和14年)の創業以来、国内外の新聞・雑誌のクリッピングに加え、テレビやウェブのモニター調査、メディア露出の効果測定まで手がけます。ツイッター(Twitter)で特定のキーワードを含む投稿を集計し、利用者の反応を可視化するといったソーシャルメディア分析も業務の一部です。
「切り抜く」という行為の本質は、膨大な情報の中から必要なものを見極める技術です。130年以上前に山縣有朋が欧州で目にした仕組みは、媒体こそ変わりながらも現在の情報産業の一角を担い続けています。
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