マーチの日・行進曲の日 (記念日 3月1日)

マーチの日・行進曲の日

「3月」と「行進曲」は、英語でどちらも「March」と書きます。まったく異なる意味のようで、実は同じ語源にたどり着く——そんな言葉の縁から生まれたのが、3月1日の「マーチの日・行進曲の日」です。

3月を意味する「March」の語源は、ローマ神話の戦と農耕の神「マルス(Mars)」にちなんだ月名「Martius(マルティウス)」に由来します。古代ローマ暦では3月が新年の始まりで、冬が明けて軍隊を動かせる季節、農耕を再開する季節として、軍神マルスを称える月に定められていました。一方、行進曲の「march」は、軍隊などの集団が歩調を合わせて行進するための音楽を指します。どちらも「軍」というキーワードでつながっているわけです。

行進曲の歴史は非常に古く、文献や絵画をたどると古代ギリシア時代にまでさかのぼれます。行列や儀式の際に歩調を整えるための実用的な音楽として生まれ、やがて音楽の一形式として発展していきました。大きな転機となったのが17世紀末。オスマン帝国(トルコ)の軍楽隊がヨーロッパに遠征した際、その迫力ある演奏がヨーロッパ人に強烈な印象を残しました。オスマン軍の強さも相まって、トルコ式の行進曲はヨーロッパ中に流行し、模倣作品が次々と生まれます。それらは「トルコ行進曲」と呼ばれ、モーツァルトやベートーヴェンもこのジャンルの作品を残しています。

有名どころを挙げると、モーツァルトのピアノソナタ第11番第3楽章「トルコ行進曲」、シューベルトの「軍隊行進曲第1番」、そして「マーチ王」の異名を持つジョン・フィリップ・スーザが作曲し、アメリカの公式行進曲にも制定されている「星条旗よ永遠なれ」などが挙げられます。日本では古関裕而が手がけた「オリンピック・マーチ」(1964年東京オリンピック)や「スポーツショー行進曲」が長く親しまれています。

「行進曲」と聞くと少々堅いイメージがあるかもしれませんが、その起源をひもとくと、古代の神様から中世の軍楽隊、そして運動会まで、時代や国境をまたいで人々の「歩く場面」に寄り添い続けてきた音楽であることがわかります。3月1日は、耳なじみの行進曲を口ずさみながら、ちょっと晴れやかな気持ちで一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。