普通選挙の日 (記念日 2月20日)
1928年(昭和3年)2月20日、日本の政治史に大きな転換点が訪れました。衆議院議員総選挙において、財産(納税額)の多寡にかかわらず、すべての成年男性に選挙権が与えられる「普通選挙」が初めて実施されたのです。この一票の権利を得た有権者数は、前回選挙時の約307万人から約1240万人へと、一気に4倍近くにまで膨らみました。普通選挙実現の法的根拠となったのは、1925年(大正14年)5月5日に制定された「普通選挙法」です。加藤高明内閣のもとで成立したこの法律は、それまでの制限選挙から大きく踏み出すものでした。制限選挙とは、一定額以上の直接国税を納める者にのみ選挙権を与える制度であり、財産を持つ一部の男性だけが政治に参加できる仕組みでした。納税要件の撤廃によって、工場労働者や小作農など、これまで選挙から排除されていた人々が初めて投票所に足を踏み入れることになりました。
ただし、1928年の「普通選挙」は今日の概念とは異なる点に注意が必要です。当時の選挙権は「25歳以上の男性」に限られており、女性は依然として参政権を持っていませんでした。真の意味での普通選挙、すなわち女性を含むすべての成年者が投票できる選挙が実現したのは、敗戦後の1946年(昭和21年)4月10日のことです。戦後初の衆議院議員総選挙では、初めて女性が一票を行使し、その結果として39名の女性議員が誕生しました。日本の女性参政権実現は、普通選挙法が制定されてから実に20年後のことでした。
その後も選挙権の範囲は段階的に拡大されてきました。長らく「20歳以上」とされていた選挙権年齢は、2015年の公職選挙法改正によって「18歳以上」へと引き下げられ、2016年の参議院議員選挙から適用されました。これにより、高校生を含む約240万人が新たに有権者となりました。一票の重みを問い直すとき、1928年のあの日から始まった権利拡大の歴史は、民主主義の深化を示す貴重な記録として刻まれています。