天地の日 (記念日 2月19日)

天地の日

「天は動かず、地が動く」――この事実を16世紀のヨーロッパで主張するには、相当な勇気が必要でした。2月19日は、ポーランドの天文学者ニコラウス・コペルニクス(1473〜1543年)の誕生日にちなむ「天地の日」です。地球が宇宙の中心であるという天動説が絶対的な真理とされていた時代に、太陽を中心とする地動説(太陽中心説)を体系化し、天文学の歴史を根本から塗り替えた人物の生誕を記念しています。

ただし、太陽中心説を最初に唱えたのはコペルニクスではありません。紀元前3世紀、ギリシャ・サモス島生まれの天文学者アリスタルコスがすでに同様の考えを提示していました。コペルニクスが成し遂げたのは、長年にわたる観測データをもとにこの説を数学的・体系的に論証し、著書『天球の回転について(De revolutionibus orbium coelestium)』として1543年に世に出したことです。この書は、コペルニクスが脳卒中で倒れ亡くなる直前に出版されたとされており、彼自身が完成した書物を手にした時間はわずかだったと言われています。

コペルニクスの功績は天文学にとどまりません。経済学の分野でも、「悪貨は良貨を駆逐する」として知られるグレシャムの法則を、イギリスの財政家トーマス・グレシャムより先に指摘した人物の一人とされています。貨幣の額面価値と実質価値にずれが生じた場合、品質の低い貨幣が流通し、価値の高い貨幣は退蔵されてしまうという現象を、コペルニクスは当時の通貨問題を分析する中で論じていました。さらに彼はカトリック司祭、法学者、医者、占星術師、知事、長官など多くの役職を兼任しており、天文学者としての顔はその多面的な人生のほんの一面に過ぎませんでした。

「コペルニクス的転回」という言葉は現在も哲学や日常語として使われており、ドイツの哲学者カントが自らの認識論の革新を例えるために用いたことで広まりました。天文学の革命が500年近くを経て言語そのものに刻まれていることは、コペルニクスの提示した問いの大きさを物語っています。