方言の日(鹿児島県大島地区) (記念日 2月18日)
ユネスコが「消滅危機言語」に指定した奄美の言葉を守るために、2月18日は「方言の日」と定められています。この日付自体が、与論島の方言「ユンヌフトゥバ」の語呂合わせ——「フ(2)トゥ(10)バ(8)」——から生まれました。鹿児島県大島地区文化協会連絡協議会が2007年(平成19年)に制定した記念日です。
奄美の方言は単なる「なまり」ではありません。奄美大島で「シマユムタ」と呼ばれるこの言語は、琉球諸語に属し、7つの母音体系を持ち、万葉集にも残る古語を今なお日常語として保っています。標準日本語の「o」が「u」に変化し、「e」が中舌母音化するなど、音韻構造から本土方言とは根本的に異なります。喜界島では「シマユミタ」、与論島では「ユンヌフトゥバ」と、島ごとに名称と音韻も変わります。一つの地域に複数の言語体系が並立する、世界的にも珍しい言語の多様性がこの地に息づいています。
危機は静かに進みました。1970年代以降、奄美語と日本語が混合した「トンフツゴ(唐芋普通語)」が広がり、純粋な奄美語の話者は急速に高齢化しました。2009年にユネスコが奄美語を消滅危機言語の「危険(Definitely endangered)」に分類したことで、その深刻さが改めて世に示されました。「方言の日」前後の2月中には、各地で具体的な継承活動が行われます。喜界島では小中高校生が日頃の学習成果を発表する「喜界町シマ言葉・シマゆみた大会」が開催され、与論島では方言が書かれたカルタを取り合う「与論カルタ大会」が実施されます。競技や発表という形式を通じて、子どもたちが自分の島の言葉と向き合う機会を作り出しています。言語を「使う場」として設計された、実践的な取り組みといえます。