仁丹の日 (記念日 2月11日)
銀色の小粒を口に含んだとたん、ひんやりとした清涼感が広がる。あの「仁丹」が世に出たのは1905年(明治38年)2月11日のことです。
仁丹誕生のきっかけは、1895年(明治28年)に森下仁丹の創業者・森下博が台湾を訪れた際の経験でした。当時の日本では風邪や食あたりで命を落とすことも珍しくなく、博は現地で常用されていた丸薬を目にして「飲みやすく、携帯・保存に便利な薬を作りたい」という想いを強くします。商品名は、儒教の根本的な徳のひとつで慈しみや思いやりを意味する「仁」に、台湾の丸薬に用いられていた文字「丹」を組み合わせて名付けられました。発売までに費やした年月は12年に及びます。発売後、森下博は全国の街頭や電柱に看板を大量設置する広告戦略を展開し、「日本の広告王」と称されるほどの宣伝攻勢で仁丹の名を全国へ広めました。
成分は、桂皮(シナニッケイの樹皮)や薄荷脳(メントール)をはじめとする16種類の生薬。これらを丸めて銀箔でコーティングした小粒の丸薬で、発売当初から戦前までは銀箔ではなくベンガラ(酸化第二鉄)が用いられていました。現在の効能は気分不快・口臭・二日酔いの緩和など。120年以上を経た今もほぼ変わらぬ姿で製造・販売されており、同社はビフィズス菌(ロンガム種)で腸内フローラを整えるヘルスエイド「ビフィーナS」など、医薬品・機能性食品も幅広く手がけています。「仁丹の日」は、1893年の創業日と1905年の発売日がともに2月11日であることにちなんで制定され、一般社団法人・日本記念日協会に認定・登録されています。かつて宣伝用に設置された仁丹の琺瑯(ほうろう)町名看板は、今も京都市内を中心に各地で現存しています。