万歳三唱の日 (記念日 2月11日)
1889年(明治22年)2月11日、大日本帝国憲法発布の日に行われた臨時観兵式で、明治天皇の馬車に向けて「万歳」が初めて唱えられました。しかし実は、当初計画されていた言葉は「万歳、万歳、万々歳」であり、現在定着している「万歳三唱」とは少し異なるものでした。当時の日本には天皇を歓呼する言葉がなく、出御の際には最敬礼するのみで声を挙げる慣習はなかったのです。そこで帝国大学の学生たちが皇居前に並び奉送迎しようという動きが生まれ、フランス語の「ヴィヴ・ラ・フランス」や英語の「セーヴ・ザ・キング」のような唱和の言葉を考えようという話が教師たちの間で持ち上がります。
発案したのは帝国大学法科大学(現・東京大学法学部)の和田垣謙三教授です。教授が提議した「万歳、万歳、万々歳」が採用され、当日を迎えました。ところが最初の「万歳!」が高らかに上がった瞬間、馬車を引く馬が驚いて立ち止まってしまいます。二声目は馬を刺激しないよう小声になり、三声目の「万々歳」はほとんど発されずに終わりました。
周囲の人々はこれを「万歳」の再唱と受け取りました。こうした偶然の積み重なりによって「万歳三唱」という形式が自然と広まり、「万々歳」という言葉は定着しませんでした。馬が驚かなければ、今日の「万々歳三唱」になっていた可能性もあります。
現在も運動会の閉会式や祝賀会で当たり前のように使われる「万歳三唱」ですが、その誕生の瞬間には驚いた馬と、うやむやになった「万々歳」の存在がありました。この日が「万歳三唱の日」として記念されているのは、日本語の歓呼表現の起源が記録として明確に残っているからです。
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