ニッパーの日 (記念日 2月8日)

ニッパーの日

「蓄音器に耳を傾ける犬」——この絵を見たことがある人は多いはずです。ビクターのシンボルマーク「ニッパー」は、1884年にイギリスのブリストルで生まれたフォックス・テリアです。客の脚を噛もうとする癖から“Nipper”(nip=噛む、はさむ)と名付けられたこの犬が、世界的な音楽ブランドの顔になるまでには、飼い主の死という悲しい背景がありました。最初の飼い主は風景画家のマーク・バロウド。1887年に彼が病死すると、弟の画家フランシス・バロウドがニッパーを引き取り、亡き兄の声が流れる蓄音機を不思議そうに覗き込む姿を絵に描きました。それが《His Master’s Voice》(彼のご主人の声)です。

フランシスが最初に描いたとき、ニッパーが覗いていたのはゼンマイ式のフォノグラフ(円筒型蓄音機)でした。その後、円盤型蓄音機であるグラモフォンを覗く姿に修正され、1900年6月10日、アメリカのベルリーナ・グラモフォン社の商標として登録されます。このベルリーナ・グラモフォンを母体とするビクタートーキングマシーンが、日本ビクター(現:JVCケンウッド)設立当時の親会社にあたります。

HMVという店名の由来もニッパーと結びついています。もともとグラモフォン社の小売部門のブランドであったHMVは、“His Master’s Voice”の頭文字をそのまま店名にしたものです。一枚の絵が商標となり、会社名になり、店名にまで派生していった経緯は、音楽産業の黎明期を象徴する歴史です。2月8日は「ニッ(2)パー(8)」の語呂合わせから「ニッパーの日」に制定されました。ビクターエンタテインメント(株式会社JVCケンウッド・ビクターエンタテインメント)が制定し、一般社団法人・日本記念日協会に認定・登録されています。ニッパーの原画にまつわる物語と、ビクターが追求する音楽の感動を未来へ伝えることが、この記念日の目的です。