おんぶの日 (記念日 2月2日)
日本では古くから、子どもを背中に負ぶって育てる「おんぶ」が暮らしの中に根付いてきました。江戸時代以前から日常的に行われており、農作業や家事をしながら子どもをあやす姿は、日本の育児文化を象徴する光景のひとつです。外国でも似た習慣はありますが、赤ちゃんの脇を支えて背中の上部全体で体重を受け止める「日本式おんぶ」は独自の発達を遂げたものとして知られています。
おんぶには、現代の育児にも通じる合理的な利点が数多くあります。まず、両手が空くため家事や作業を続けながら子どもをそばに置いておけること。さらに、親と子が同じ方向を向くため、子どもは親の動作を自然に目で追い、脳内でそのしぐさをイメージしてまねすることができます。これはミラーニューロンと呼ばれる神経のはたらきを活かした学習で、抱っこでは親の顔を正面から見るだけになるため、この効果が得られにくいとされています。
また、おんぶをされた赤ちゃんは親の体温と鼓動を直接感じながら過ごすことができます。密着することで愛着形成が促されるとともに、親の体の動きに合わせてバランスを取ろうとする反応が、赤ちゃん自身のバランス感覚の発達にもつながるといわれています。温もりと揺れが心地よく、泣いていた子どもがおんぶされた途端に落ち着くという経験をもつ親御さんも多いのではないでしょうか。
昭和から平成にかけて、前向き抱っこ紐の普及とともにおんぶの習慣はいったん影を潜めた時期もありました。しかし近年は、おんぶが持つ育児効果や実用性が改めて注目されています。特に「おんぶ紐」の改良が進み、従来の細い紐では難しかった安定した装着感や、親への負担軽減が実現するようになったことが再評価の大きな要因です。「おんぶの日」は2月2日。「2・2」という数字が、おんぶする親の姿と背負われた子どもの姿を表しているという発想から生まれました。神奈川県横浜市に住む母親が、より使いやすいおんぶ紐を開発したことを機に制定し、一般社団法人・日本記念日協会に認定・登録された記念日です。「親も子もニコニコと笑顔で」という願いが込められたこの日は、日本古来の育児文化をあたたかく見つめ直すきっかけになっています。