世界湿地の日 (記念日 2月2日)
地球上の面積のわずか6%を占める湿地が、世界の生物多様性の40%を支えているといわれています。2月2日は「世界湿地の日」。この日に世界中で湿地の価値を伝えるイベントが開かれるのは、1971年のこの日にイランの都市ラムサールで、湿地保護を目的とした国際条約が調印されたことに由来します。
ラムサール条約の正式名称は「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」。当初は水鳥の生息地保護を主眼に置いていましたが、その後の改正を経て、すべての生物にとっての湿地の生態的役割を包括的に守る条約へと発展しました。1997年(平成9年)に「世界湿地の日」として正式に制定され、ラムサール条約事務局が毎年テーマを定めて啓発活動を行っています。2008年(平成20年)のテーマは「健康な湿地、健康な人々」でした。清潔な水・食物・医薬品の供給といった人の健康への恩恵が湿地から生まれる一方、管理が不適切だと水質汚染・感染症・洪水・泥炭地の火災など深刻な問題を引き起こすことを示したテーマです。
2021年11月時点で、条約の締約国は172か国、登録湿地数は世界で2,434か所・総面積約254万km²にのぼります。日本は1980年(昭和55年)に釧路湿原を皮切りに加盟し、2025年時点で全国54か所、総面積約16万6,000haが登録されています。尾瀬・琵琶湖・谷津干潟など、名前を聞けばすぐに思い浮かぶ場所が名を連ねており、北海道から沖縄まで地理的にも多様です。
湿地は「地球の腎臓」とも呼ばれ、水を浄化し、炭素を蓄え、洪水を緩和する機能を持ちます。しかし20世紀の間に世界の湿地の35%以上が失われたとされており、農地転換・干拓・都市開発・水質汚染がその主な原因です。失われる速度は森林の3倍ともいわれ、その危機感がラムサール条約の締結につながりました。
2月2日には自然観察会や講演会が世界中で開かれます。国内でも各登録湿地の周辺自治体が探鳥会や湿地ガイドウォークを企画しており、普段は気にとめない足元の自然と向き合う機会になっています。湿地の豊かさは、そこに集まる水鳥や魚、植物の多様さに表れます。一見地味な水辺の風景が、実は生命を支える巨大なインフラであることを、この日が改めて教えてくれます。