コラーゲンの日 (記念日 1月26日)
「水に溶けない」とされていたタンパク質を、酵素の力で溶かす——。1960年1月26日、日本皮革株式会社(現:株式会社ニッピ)の研究員・西原富雄は、コラーゲンの可溶化に成功し特許を出願した。特許番号306922号。この一枚の出願書類が、後の化粧品・食品・医療業界を大きく塗り替えることになる。コラーゲンは人体の全タンパク質の約30%を占め、皮膚・骨・軟骨・腱・血管など、あらゆる組織の構造を支える繊維状タンパク質だ。しかし長らく、その強固な三重らせん構造ゆえに水に溶けず、工業利用は極めて困難でした。西原が着目したのは蛋白質分解酵素——トリプシンとペプシンを用いることで、らせん構造を保ったまま分子の末端部分を切り落とし、液中に均一に分散させるという斬新なアプローチでした。
可溶化とは、本来溶けないはずの物質を透明かつ均一な状態で溶液中に保つ技術を指す。西原の発見によって、高純度のコラーゲンを液体の形で安定して取り出せるようになった。これは研究レベルの発見にとどまらず、化粧品への配合、食品への添加、医療用素材としての活用を一気に現実のものとした。コラーゲンペプチドのサプリメントや美容ドリンクが今日これほど普及しているのも、この可溶化技術が土台にある。
西原はこの発見を起点に国内外で38件もの特許を取得し、世界のコラーゲン研究の先駆者として名を刻んだ。しかしその生涯は短く、特許出願からわずか4年後の1964年、43歳で没した。研究者としての活動期間はわずか十数年だったが、彼が切り開いた道はニッピのコラーゲン研究として脈々と受け継がれている。
「コラーゲンの日」は、この歴史的な特許出願の日を記念して、コラーゲン国内シェアNo.1を誇る株式会社ニッピコラーゲン化粧品が制定し、一般社団法人・日本記念日協会に認定・登録された。一人の研究員の執念が産業の礎となった日として、1月26日は記憶されている。