有料駐車場の日・パーキングメーターの日 (記念日 1月26日)
1959年(昭和34年)3月4日、東京の街に「お金を入れて駐車する」という全く新しい概念が持ち込まれました。東京都が日比谷と丸の内に日本初の路上有料駐車場を開設し、1283台のパーキングメーターを一斉に稼働させた日です。記念すべき第1号機は、当時まだ有楽町にあった都庁前(現在の東京国際フォーラム前)に設置されました。
料金は駐車15分につき10円。この金額が当時どれほどの価値を持っていたかは、同時代の物価と比べると実感しやすいでしょう。10円あれば豆腐が1丁買え、郵便はがきも1枚送れました。大学卒の初任給が15,200円だった時代に、15分ごとに10円を投入し続けるコストは、駐車という行為を「贅沢」に感じさせるには十分だったといえます。それでも都市部の路上に車があふれ始めた高度経済成長の入口において、このシステムの導入は避けられない選択でした。
パーキングメーター自体の歴史はさらにさかのぼります。1935年(昭和10年)、アメリカ・オクラホマシティで発明されたこの装置は、硬貨を投入すると針が動いて駐車可能時間を示すという、シンプルながら画期的な仕組みでした。発明から20年あまりで太平洋を越え、東京の街角に根付いたことになります。その後、パーキング・チケットを発給するタイプが登場し、現在では電子マネーやスマートフォンで支払う方式へと進化を続けています。形は変わっても、「時間とお金を交換して場所を借りる」という本質的な発想は今も変わりません。さらに近年では、AIやIoTを活用したスマートパーキングの普及も進んでおり、空き状況をリアルタイムで確認したり、アプリで事前予約したりすることも当たり前になりつつあります。1935年の発明が現代のデジタルインフラへとつながる流れは、技術革新の連続性を感じさせます。
関連する記念日として、「パ(8)ーク(9)」の語呂合わせから8月9日が「駐車場の日・パークの日」とされています。3月4日と8月9日、それぞれ異なる切り口から「駐車」という日常行為に光を当てているのは興味深いところです。私たちが何気なくコインパーキングに車を停める習慣は、1959年のあの日、都庁前の1台のメーターから始まりました。
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